ワキガ対策、二重術、包茎治療、脱毛等


一般的にはワキの下のしわに沿って切開します。手術後1〜3ヶ月程度は傷口が赤かったり、傷口付近の皮膚が硬かったりしますが、これらが軽快してしまえば、ワキの下のしわと一致してしまい傷口は殆ど目立ちません。若い女性、特に未婚の方ではこの部位を切開する方が殆どです。ソフトコヒーシブシリコンジェルバッグや生理食塩水バッグが適応です。
欧米でポピュラーな切開部位です。欧米人の場合は体格的にもかなり大きめのバッグを入れる傾向にありますので、大きさによってはワキの下からの切開では挿入できない場合が殆どです。また、欧米人のバストは下部にボリュームがある場合が多く(釣り鐘型)アンダーバストの傷口はバストを手で持ち上げない限り見えない場合も多く、そのようなバストでは傷が気にならない、という理由もあります。
また、白人(スキンタイプがI〜IIの肌の白い方)では黄色人種や黒人と比べて皮膚の色の違いのために傷が目立ちにくい、というメリットからもアンダーバストの切開が多数を占めます。また、欧米人は日本人と逆にイブニングドレスを着た時にワキの下の傷が見えてしまうのを気にするのも理由の一つです。アンダーバストはバッグの挿入部位に一番近い場所ですので手術時間も短くワキを触りませんので手術後の腕の痛みもありません。手術後すぐに腕を使う仕事等に復帰したい場合はお勧めの場所です。
ただし、日本人の場合はワキの下と比べると傷口はやや目立ちますので「既婚の方で配偶者の了解が得られている方」には適応があると思います。耐久性に最も優れているハードタイプのコヒーシブシリコンジェルバッグやアナトミカルタイプのコヒーシブシリコンバッグの場合はアンダーバストからの切開となる場合が多いです。

豊胸手術の際に「ワキの下切開」ではなく「アンダーバスト(IMF)切開」を選択された患者様の傷跡です。もちろん消えてなくなる訳ではありませんが、かなり目立たないと思います。この写真は傷跡が見えるようにバストを持ち上げていますが通常の状態ではアンダーバストのラインと傷跡が重なってしまい、傷は正面からは見えません。

20年以上前には主流となって行われていましたが、現在は乳腺を傷つけてしまう可能性が高いので殆ど行われていません。ただし、豊胸術だけでなく同時に下垂乳房に対して「乳房吊り上げ術」を行う場合には乳輪周囲からの切開の方が1カ所の傷口で済みますので好都合です。傷は乳輪周囲で元々色素沈着している皮膚ですので目立ちません。また、全身麻酔や硬膜外麻酔を用いなくても歯科のような局所浸潤麻酔だけでも比較的痛みが少なく手術が行えるメリットもあります。
乳ガン手術などでの傷跡が既にある場合に、その傷を利用してバッグを挿入します。大胸筋が残っている場合は大胸筋の下に挿入します。乳腺、大胸筋ともに切除されている場合は皮下に挿入される事になります。
皮下に挿入された場合はバッグの形がくっきりと浮き出てしまいます。乳ガン手術後に自家組織による再建術(腹直筋皮弁や広背筋皮弁など)は希望しないけれどもある程度の乳房のボリュームが欲しい、という方に行っています。ただし、乳ガン手術後ですので、再発を念頭においた定期的な検診が必須です。

乳ガンで左側乳腺全摘出術を受けた患者様です。同時に乳輪乳頭も切除されています。本来ならば自家組織(腹直筋皮弁や広背筋皮弁など)で乳房再建術(これは保険適応となります)を行ったうえで乳輪乳頭再建術も追加するのが一般的な症例です。ただし、この患者様の場合は「服を着た状態でバストのボリュームが元通りになっていれば構いません」というご希望でしたので、乳ガン手術の際の傷口を切開して皮下にシリコンバッグを挿入するだけにとどめています。新たな傷が付くことなくバストのボリュームが回復しています。
母乳を作る乳腺の奥(大胸筋の前面)にバッグを挿入する方法です。次のようなメリットがあります。『基本的に触った感触が柔らかい』『手術後の痛みが少ない』『手術中、手術後の出血が少ない』『多少垂れ下がったバストでもバストアップする』『走るとバストが揺れる』『寝た時にバストが流れる』などのメリットがあります。乳腺自体を切開したり、切除している訳ではありませんので、将来的な妊娠や授乳には支障ありません。
乳腺の奥にある大胸筋と呼ばれる筋肉の奥(肋骨の前面)にバッグを挿入する方法です。特にメリットはありませんが唯一『乳腺を全く触りません』という事が言えます。一時期は乳腺に触れない手術ということで安全性が高いと言われた事もありましたが、実際に乳腺下法で行った場合でも乳腺自体を触れますが決して乳腺を「切断」したり乳腺組織を「切除」している訳ではありませんので、手術後の妊娠や授乳に明らかな悪影響を与えることは考えられません。
『手術後の痛みが激しい』『手術中の出血が多く皮下出血斑が現れる』『バッグが大胸筋でカバーされてしまうために筋肉質の患者様ではバストを触った感触が硬い』「大胸筋に力を入れるとバッグが上に持ち上がって移動して不自然」などの欠点があります。ただし、生理食塩水バッグなどの感触に劣るバッグを挿入する場合は大胸筋下法が選ばれます。これはバッグの不自然な感触を大胸筋で補う目的です。
また、僕自身で正確なデータを持っている訳ではありませんが、長期間にわたって大胸筋下にバッグ(シリコン、生理食塩水とも)が挿入されているとバッグによる圧迫で肋骨が薄くなってしまっている患者様を複数経験しています。アゴのシリコンプロテーゼの場合も同様なのですが、肋面の血行が悪くなることによる部分的な骨壊死が発生しているのだと思われます。バッグの底面積に一致して肋骨前面が陥没します。
2007年頃から学会で盛んに発表されている方法です。これは大胸筋の表面を被っている「大胸筋筋膜」を筋体(筋肉そのもの)から剥がして「筋膜と筋体の間のスペースにバッグを挿入する」という方法です。この方が手術後の皮膜拘縮が起きにくい、という理論のようです。(ナグモクリニックの南雲総院長がこの考えを提唱し始めたと記憶しています)でも「この方法って本当に良いの?」と思わざるを得ません。
大胸筋筋膜は薄い組織で、僅かな力で容易に破れてしまいます。また、大胸筋は乳房全域に存在している訳ではなく、乳房の下方や外側には存在していませんので、その部分では筋膜自体がありませんので、バッグはカバーされていません。また、筋膜は元々は筋体をカバーして血行を確保する目的があります。大胸筋の筋体は非常に柔らかくて繊維状になっており(高級なステーキ肉のように箸で切れるような感じです)容易に傷つきますし、筋肉は血管の豊富な組織ですので容易に出血します。ですから大胸筋筋膜を剥離して筋体の直上にバッグ(特にバッグ表面がザラザラしているテキスチャードタイプ)を挿入する事は出血や筋体損傷のデメリットこそあっても、メリットは全くないと考えられます。
通常の「テキスチャードタイプのコヒーシブシリコンバッグを乳腺下に挿入」する方法が理論的にも優れていると思われます。大胸筋筋膜を剥離して筋膜と筋体の間にバッグを挿入した方が「皮膜拘縮が少ない」というデータは僕の知る限りありません。また、2008年の日本形成外科学会総会である医師はこの方法をアレンジして「大胸筋筋膜は全て剥離せず下半分程度を残してバッグの上半分は筋膜下に、バッグの下半分は筋膜上に挿入する」という手術方法を提唱して実践しているようですが、理解に苦しみます。患者様は実験台ではないと思います。
1980年代前までは乳輪周囲を切開して乳腺下にバッグを挿入するという方法が主流でしたが、この際に乳腺を大きく傷つけてしまうという欠点がありました。具体的には乳腺を垂直方向に切断していました。当然、乳腺を傷つけていますので将来的に母乳の出に影響したり、乳腺を切断した部分がしこりとなってしまい乳癌ではないのだけれども乳癌検診で精密検査が必要になる、という心配がありました。
そこで、1980年代からは徐々に『乳腺を傷つけないで大胸筋の下にバッグを挿入する』という方法が主流となってきました。大胸筋の下に挿入するためにはワキのら切開する方が容易で傷口も目立ちませんので、この方法が一般的となっていました。乳腺下よりも皮膜拘縮の頻度や程度が少ない、というメリットもありました。
しかし、大胸筋が発達している患者ではバッグ自体は柔らかくても筋肉のために触った感触が硬く感じてしまう、という欠点がありました。また、手術の際に大胸筋を肋骨から剥離する際のかなりの出血や大胸筋を剥離した事による手術後の強い痛みの問題がありました。また、バッグが筋肉で覆われてしまうために立っている状態でも寝ている状態でもバストの形が変わらない、スポーツしてもバストが揺れない、大胸筋に力を入れるとバッグが移動する、などの欠点も指摘されていました。
そこで、2001年頃からは以前のように乳腺下にバッグを挿入する方法が主流となっています。ただし、以前と同様に乳輪を切開するのではなく、ワキの下またはアンダーバストを切開して乳腺自体は傷つけないように工夫しています。乳腺下に挿入する場合は乳腺を大胸筋から剥がしますので全く乳腺に触れない訳ではありませんが、従来の方法のように乳腺を切断したり切除している訳ではありませんので、将来的な授乳や妊娠には全く問題がないと考えられていますので心配ありません。事実、乳腺下にバッグを入れた患者様が手術後に妊娠出産しているケースが多くありますが、トラブルの経験はありません。
豊胸術用バッグには様々な種類があります。当院では患者様と十分にカウンセリングを行い、患者様の希望にあったベストなバッグを選択して頂いています。
ちなみに『スムースタイプ』というのはバッグの表面がツルツルしているタイプで従来からあったタイプです。一方『テキスチャードタイプ』とはバッグの表面がザラザラしたタイプで従来必要だったマッサージを不要にしたタイプで1995〜6年頃から世界的に普及してきており、当院でもこのザラザラしたテキスチャードタイプをお勧めしています。
ラウンドタイプとはバッグの底面の形状が円形で「肉まん」型の形状です。アナトミカルタイプとは「釣り鐘型」とも呼ばれており、バッグの底面が三角形に近いもので、バッグの上部が薄く下部に厚みがある形状です。通常、東洋人にはラウンドタイプが適していると言われていますが、胸の上部の筋肉(大胸筋)が厚い、肋骨が張り出している、下膨れのバストが好みだ、などの場合はアナトミカルタイプが適応になります。

1992〜1995年頃まで豊胸目的で使用されていた「生理食塩水バッグ(テキスチャードタイプ)」です。中央のバルブと呼ばれる穴から写真のように注射器で生理食塩水を充填します。バルブの近くに微量の空気が混入しているのが見えると思います。この程度の空気の混入は全く問題ありません。コヒーシブシリコンの登場ともに使用されなくなりました。耐久性や感触に問題があり、決して一生もののバッグではありませんでした。

アナトミカルタイプ(釣り鐘型)のバッグです。膨らみの大きい部分がバストの下方に位置します。バストの下方にボリュームを出したい場合や鎖骨下にあまりボリュームを出したくない場合に使用します。
下記はラウンドタイプとアナトミカルタイプの比較表です。
| ラウンドタイプ | アナトミカルタイプ | |
|---|---|---|
| 仕上がり | お椀型のバスト | 下膨れのバスト |
| 適応 | 平坦なバスト、下垂したバスト、授乳等でしぼんだバストなど一般的な豊胸の方 | 胸の上部が筋肉や肋骨のために張り出している方 |
| 脇の下切開 | 可能 | 困難 |
| アンダーバスト切開 | 可能 | 可能(この部位しか推薦出来ない) |
| 移動する可能性 | 無い | 有り得る |
| 術前シミュレーション | 比較的容易 | 比較的困難 |
もう1つ、「アシンメトリカルタイプ」と言って左右で非対称なバッグもありますが、PIP社と言って過去にハイドロジェルバッグの製造販売でトラブルを起こしているメーカーなので、信用できませんし、FDAの認可も受けていませんので当院では全く扱っていません。
この他にメンター社で製造販売している「ベッカータイプ」という「シリコンジェルと生理食塩水を二重構造のバッグに別々にいれたもの」が存在します。このベッカータイプのバッグは手術後1年以上経過して皮膜が完成した後にバッグの生理食塩水だけをある程度抜いてバッグの容量を減少させて軟らかさを出す、という趣旨のバッグです。乳ガン手術後の再建などでは「エキスパンダーの挿入」+「後日のシリコンバッグへの入れ替え」という2段階の作業が一度で済む、というメリットはありますが、その感触や耐久性、バルブと呼ばれる付属物が皮下に残る、などの面から美容外科的に意味がないので、当院では行っていませんし、世界的にも全く普及していません。
| テキスチャードタイプ | スムースタイプ | |
|---|---|---|
| ソフトコヒーシブシリコンバッグ (ラウンドタイプ) |
◎ | △ |
| ソフトコヒーシブシリコンバッグ (アナトミカルタイプ) |
◎ | △ |
| コヒーシブシリコンバッグ (ラウンドタイプ) |
○ | △ |
| コヒーシブシリコンバッグ (アナトミカルタイプ) |
○ | △ |
| 生理食塩水バッグ | △ | × |
◎ は当院お勧め ○ は条件が合えば受けても良い △ は患者様の希望があれば行っても良い
× は全くお勧めしない

バッグの各種サイズです。当院では150ccから400ccまでのバッグのサイズを揃えています。これ以外のサイズは注文となります。
バッグはメーカーによっても多少違いますが、20〜25cc刻みでサイズが揃っています。日本人では200〜250cc前後のバッグを使用する患者様が多いようです。200ccで2カップ程度大きくなります。3カップ大きくするためには300cc程度が必要です。一般的なコヒーシブシリコンバッグは水よりも重いので200ccを左右に挿入すると体重は500グラム程度増えます。あまりに大きなバッグを挿入すると肩こりや手のしびれの原因となる可能性もあります。
生理食塩水バッグには許容範囲があり通常はバッグのサイズ+25ccです。手術中に生理食塩水を注入しますので200ccのサイズのバッグであれば200〜225ccの範囲で調整できます。ですから、バストの微妙な左右差を調整したり、1cc単位での大きさの調整が可能です。ただし、生理食塩水バッグの耐久性やリップリングの点から考えるとそのバッグの許容範囲一杯まで生理食塩水を注入した方が優位です。具体的には200ccのサイズのバッグならば225ccの大きさ、と考えて下さい。生理食塩水を少なめに入れると将来的な耐久性が下がったり、リップリングが起きやすくなると考えられています。
手術中には必ず「トライアルバッグ」という一種のかなり伸び縮みする生理食塩水バッグを空の状態で挿入して付属しているチューブから生理食塩水を徐々に注入してバッグを膨らませて大きさや形、剥離範囲などを確認します。その後にトライアルバッグを抜いてから希望したサイズのバッグ(ソフトコヒーシブシリコン等)を挿入します。この確認作業は硬膜外麻酔の場合だけでなく、全身麻酔の場合も必ず行って仕上がりをチェックしています。
十分な問診やカウンセリング時の入念な診察の他に豊胸手術のためには以下の検査が必要となってきます。
以上の検査を行って何も異常がない事を確認してから、手術を行います。貧血がある方はあらかじめ貧血を改善しておいてから手術を行う、血圧が高い方は降圧剤を服用してから手術を行う、などの措置が必要となります。
また、検査結果によっては全身麻酔が受けられず、硬膜外麻酔しか選択肢がない可能性もあります。(1)(4)(5)(6)の検査は当クリニックで行います。(2)(3)の検査(要予約)は「奥田クリニック」もしくは「みとべ医院」で行います。

雑誌広告等で『マッサージの必要がありません』という広告をみたことがあるかもしれません。従来は豊胸術には手術後のマッサージは必須のものでした。しかし、1995〜6年頃からバッグの表面がザラザラして凹凸が付いている『テキスチャードタイプ』のバッグが主流となってくるにつれてマッサージは不要のものとなりました。それまではバッグの表面はツルツルしたものでした。このタイプを『スムースタイプ』と呼んでいます。 なぜ従来はマッサージが必要だったかという事を以下に説明します。
人間には異物が体内に入ってくるとそれを排除しようという働きが生まれながらにして備わっています。当然豊胸術用のバッグはどの種類でも人体にとっては異物です。このような異物が人体の表面(例えば皮膚など)に入ってきた場合はそれを体外に排除しようという働きがあります。ナイロン等の人工毛による植毛では1年足らずで頭皮に植えたナイロン毛が脱落してしまう現象はこの典型的な例です。
一方、豊胸術のように体内にしっかりと入ってしまった異物に対しては『その異物を膜で取り囲んで移動しないようにしてしまおう』とする働きが起きます。そのバッグの周囲を取り囲んでしまう膜はコラーゲンで出来ており『被膜』と呼んでいます。この被膜は豊胸術に限らずに、交通事故でフロントガラスの破片が体内に入った場合にもそのガラス片の周りに形成されます。また、骨折して整形外科で金属のプレートで骨折した骨同士を整復した場合にもその金属プレートの周囲に被膜が形成されます。
この被膜が形成されること自体は自然現象なのですが、患者様の体質によってはこの被膜が過度に形成されて厚くなりバッグに密着し過ぎてしまいバッグを外側から圧迫して、バストを触った感触が被膜のために硬く(出産後に母乳をあげる際に胸が張った感じに近い硬さです)感じられたり、被膜によってバストの変形をきたす事があるのです。この皮膜によるバストの状態(感触や形態)を分類したものが下記のBecker分類です。
| Grade 1 | 乳房は柔らかく、埋入した異物の感触がほとんどない自然なもの |
|---|---|
| Grade 2 | よく触れるとインプラントがわかるが、かなり柔らかく患者にあまり苦情がない |
| Grade 3 | 患者自身が硬いという。外見上は美容的に可であるが、触れるとインプラントがはっきりわかる |
| Grade 4 | 拘縮がはっきりして、見ても異常感があり触れればテニス硬球状である |
このような現象を防ぐために『マッサージ』が行われてきました。ただし、このマッサージは結構な痛みを伴いますし、手術後3〜5日目から1年間は毎日数回ずつ行わなければならないために労力を要するものでした。また、逆にこのマッサージを行ったために『血腫』(出血して血液が内部に溜まった状態)や『ゼローマ』(水分が内部に溜まった状態)が起きてしまう危険性もありました。
そこで1994年頃から開発されたのがバッグの表面がザラザラしていて凹凸になっている『テキスチャードタイプ』のバッグです。このテキスチャードタイプは従来からのバッグの表面がツルツルしている『スムースタイプ』と比べて硬くなったり変形したりする原因となる被膜拘縮が構造的に起きにくくなっています。逆にテキスチャードタイプではバッグの表面がザラザラしているためにマッサージをすることによって痛みが出たり、摩擦による大胸筋や乳腺からの出血や腫れの原因となってしまいますので、最低1カ月はセックスでバストを揉まれたり、スポーツや過度の腕を使う肉体労働は控えてもらう必要があります。
欧米ではこのテキスチャードタイプが随分と前から主流となっていますが日本ではまだスムースタイプのバッグを使用してマッサージを行わせているクリニックや医師もあるようです。理由は色々あるのでしょうが「バッグの価格が安い」「手術の際に挿入しやすい」「従来からの方法で慣れている」等が考えられますが、いずれも患者様本位とは思えません。また、医師の考え方なのでしょうが「テキスチャードタイプのバッグを使用したうえでマッサージも行った方がより柔らかい感触が得られる」と言ってマッサージを勧めているクリニックもあるようです。
共立美容外科宇都宮院では1995年から患者様の特別な要望がない限りは全ての種類のバッグにおいてテキスチャードタイプを使用しています。テキスチャードタイプを使用してからの8年間ではBecker分類のGrade4は1人もいませんし、Grade3の方も3%以下(大胸筋下に生理食塩水バッグを入れた方やスムースタイプの生理食塩水バッグを乳腺下に入れた方だけ)です。ただし、全ての患者様でテキスチャードタイプを使用したからといって絶対に皮膜拘縮が起きない訳ではありません。約5%の患者様では体質的(明確な原因がないという意味)に手術後にバストに張りが出てくる可能性があります。「体質的」という言葉でごまかしていますが、微少な感染や出血、外見上分かりにくい炎症反応などがバッグの周囲組織で起こっていると推測されます。
マッサージ不要のテキスチャードタイプが明らかに優れているのは世界的にも学会等での常識と我々は考えていますが、逆にスムースタイプもテキスチャードタイプも皮膜拘縮に関しては差がないデータを持っている、という意見の医師もいます。
前述のように2002年秋の学会でスペインのドクター・プラナスによって報告された方法で、非常に画期的なものです。皮膜拘縮で悩んでいた患者様には非常な朗報となっています。
当院でも早速2003年から導入してBecker分類の2〜3の患者様を対象にして治療を行っています。当院で導入している機器は最新の2波長を出力できるタイプですので、患者様の体格や乳腺組織や脂肪組織の量によって1MHz(深層)、3MHz(浅層)を使い分けられる優れものです。1週間間隔の照射で5〜10回程度の照射で改善する場合がほとんどです。非常に効果は高いのですが、患者様によっては「明らかに以前よりは柔らかくなったけれどもまだ100%満足ではない(Becker分類の1までは至っていない)」という方もいらっしゃいます。
それに、まだこの体外式超音波照射は始められて日が浅い方法ですので、一度超音波を照射したならば一生涯感触が柔らかいままなのか、などという長期的なデータは揃っていませんので、今後のデータ収集が重要と考えています。また、超音波を照射したことによるバッグへの悪影響も現在のところはないと考えられていますし、そのような報告はありません。
ちなみに当院で導入している超音波機器は超音波や超短波では世界のトップメーカーである日本の伊藤超短波製のUS-700を採用しています。(この機種はサッカー日本代表でも採用されており、海外試合には必ず帯同されて試合後や練習後の疲労回復に必須のアイテムとなっています。サッカーでは捻挫の早期治癒や打撲、腫れの早期回復目的で使われています。)
また、遠方などの理由で豊胸手術後に体外式超音波治療になかなかご来院出来ない患者様のために「貸し出し用体外式超音波器」を10台以上用意してありますので、ご安心下さい。ただし、業務用の機器ではありませんので、周波数は1MHzのみで出力も低いのですが、何もしないよりは格段に効果が得られます。
リップリングとは特に生理食塩水バッグで顕著に見られる現象で「バッグの辺縁がペコペコと触知される」状態を言います。コヒーシブシリコンバッグも含めた全てのバッグに言える事なのですが、バッグそのものを揉んだり、わしづかみにした場合はそれ程不自然な感触ではないけれども、バッグの辺縁をなでるように触るとバッグの外袋の部分が波打っているように感じる事があります。ひどい場合はバストを触れなくても外観上波打っている感じが皮下に見て分かる方もいます。これをリップリングと呼んでいます。
特に乳腺下にバッグを挿入した患者様で元来痩せていて皮下脂肪や乳腺組織のボリュームが少ない方では皮膚の直ぐ下にバッグが挿入されますので、リップリングが現れる可能性があります。部位としてはバストの内外側やアンダーバストによくみられます。これは患者様の乳腺組織や皮下脂肪の問題なので手術だけでは解決出来ません。少し、体重を増やすか、どうしても気になれば後日その部分に「自己脂肪注入」を行うという手段はあります。

リップリングの写真です。バッグの表面が「シワシワ」になっているのが分かると思います。このような状態をリップリングと呼んでいます。皮膚の上から触知されるだけでなく、程度のひどい方では触らなくても見ただけで、皮膚の下がシワシワになっているのが分かってしまう方もいらっしゃいます。

リップリングが現れているバストです。皮膚の表面が「波打っている」のが分かると思います。皮下脂肪が少ないなどの理由で痩せている患者様にコヒーシブシリコンバッグ(生理食塩水バッグでも起きます)を挿入した際に見られることがあります。普通は「バストを触ると波打っているのが触知できる」のですが、程度が強いとこの写真の方のように「触らなくても見ただけで分かってしまう」場合もあります。
手術後1年間程度は徐々に改善していきますが、1年以上経ってしまうと改善傾向がなくなります。
豊胸術とは元々すき間のない所にバッグを入れるためのスペースを作るために、乳腺(または大胸筋)を剥離します。当然、大きなバッグを入れれば入れるほどスペースを広くとらなければなりません。解剖学的に乳首と同じ高さで乳房の外側(中腋窩線上)に「外側肋間神経」と呼ばれる太めの神経が血管などを伴って索状物(固い筋のようなもの)となって存在しています。この神経はバストの外側や乳首の知覚に関与している神経です。(外側肋間神経はこの1本だけではありませんが、豊胸手術で主に問題となるのは乳首と同じ高さのものだけです)実際の豊胸術ではこの神経が邪魔になってしまう事が多く手術操作としてこの神経を傷つけたり、場合によっては切断してしまいます。
逆にこの神経を残しておくとバッグがきれいに収まらなくてバストの形がゆがんだり、後からバッグの破損の原因ともなってしまいます。(この神経を含んだ索状物とバッグが長年のうちに摩擦で擦れてしまい、バッグが薄くなって破損の原因となる可能性が高い。)従ってこの神経を傷つけてしまいますと、手術直後よりバストの外側や乳首の知覚が鈍くなります。(当院では70〜80%程度の患者様で起こります)しかし、神経はまた時間とともに再生してきますし、知覚が鈍くなった周囲の神経がその部分をカバーしてきますので6ヶ月〜1年も経過するうちに知覚は徐々に戻ってきます。手術後にバスト外側の皮膚や乳頭にピリピリ、チクチクした感じが現れる事がありますが、これは神経が戻って(再生)きている証拠ですので、心配ありません。
しかし、患者様によっては「知覚が戻っては来たけれども100%ではなく、手術前と比べると少し鈍い」という方が5%ほどいらっしゃいます。これもある程度仕方がないことと考えています。この神経はあくまでも「知覚神経」ですので、常に痛みがある、とかその部分の筋肉が動かなくなってしまう、という訳ではありませんので時間が経ってしまうと「それ程気にならない」と言われる患者様が殆どです。

石灰化とはカルシウムの沈着の事です。石灰化とは豊胸手術に限ったことではなく、病気や老化で体内の様々な部位に見られる現象です。豊胸手術では通常は石灰化は見られませんが、バッグの袋の周囲に形成された皮膜が厚くなってくる(皮膜拘縮)とカルシウムが溜まってくる事があります。この状態を石灰化と呼んでいます。
カルシウム自体が悪い訳ではありませんが、固まりとなったカルシウムがバッグの袋と接触して摩擦によってバッグが破れてしまう可能性があります。下図もそのような作用によって破れてしまったシリコンジェルバッグ(従来のコヒーシブシリコンでないタイプ)です。1992年まで使用されていた粘着性の低いタイプ(コヒーシブシリコンでないもの)は比較的容易に破れてしまう傾向にあります。ただし、破れても皮膜内のことですので、皮膜が破れない限りは外に漏れ出す可能性は低いと言えます。
手術部位に血液が溜まった状態を血腫(ヘマトーマ)と言います。血液ではない漿液(淡黄色の液体)が溜まった状態を漿液腫(ゼローマ)と呼んでいます。血腫は血管が損傷した事による出血で比較的手術後早期に見られます。血腫を放置しておくと「感染」「皮膜拘縮」の原因となりますので、出来るだけ早く処置を行って血腫を取り除きます。再手術となりますが、ためらってはいけません。手術当日の血腫の場合は血管が切れて出血している事が多いので止血と洗浄を行います。
一方、手術の翌日以降では出血は止まっている事が多く、血腫の除去と内部の洗浄を行います。程度の差はありますが、血腫が起きるとほぼ100%の確率で皮膜拘縮を誘引しますので、アコレートの内服や早期からの体外式超音波照射を開始します。漿液腫は血腫のような明らかな損傷ではなく、バッグと乳腺や大胸筋などの組織との摩擦や炎症によって発生します。これも血腫と同様に感染、皮膜拘縮の原因となりますので、早期の処置が必要です。
これらの血腫や漿液腫の予防のためには「血管を傷つけない丁寧な手術操作」「手術後の安静」「ドレーンの使用」が重要です。
感染は比較的少ないトラブルですが、起きてしまった場合は一旦、挿入したバッグを取り出さないとなかなか治りませんので、厄介です。感染の原因は「不潔操作」「長時間手術」「血腫や漿液腫形成」「患者様の要因(糖尿病など)」などが考えられます。バッグを一旦取り出さなくてはいけない程度の感染は1〜2%の割合です。
感染対策としては術中術後の抗生剤投与、手術時間の短縮、血腫などのトラブル回避、などが重要です。皮膜が出来上がってからの感染は皮膜内に限局したものが多く、発熱や血液検査での異常(白血球高値、CPR高値など)が現れないことが多くあります。
シリコンバッグは通常の胸部レントゲン写真に写ります。ただし、下左のレントゲン写真のように殆ど目で見ても分からないレベルです。ただし、年月が経ってバッグの周囲に皮膜を形成し、そこに石灰化を起こすと下右のレントゲン写真のように白くはっきりと写ってしまいます。
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会社や自治体の健康診断での胸部レントゲン写真撮影くらいでは自己申告しなくても支障ないと思いますが、乳ガン検診や内科的な検査の際には「乳腺下にコヒーシブシリコンバッグが入っています」と医師や看護師に伝えてください。もちろん、レントゲン以外の検査(CTやMRIなど)ではより明白に描出されます。

PIP社製のハイドロジェルバッグ(現在は製造使用中止)を乳腺下に挿入して約8年後のレントゲン写真です。生理食塩水バッグやハイドロジェルバッグは中身が水分なのでレントゲンを透過して写らない、と言われていました。しかし、年月が経つうちにこの写真のように皮膜が白く写ってくる事があります。バッグの中身自体は写らないのですがバッグの袋の周囲に形成された皮膜(コラーゲン膜)が徐々に厚くなり石灰化などを起こして写ってきています。
バッグの破損が一番の将来的な問題です。アメリカのFDAでの認可の条件の多くも耐久性に関するデータでした。感触よりも手術後の破損トラブルが重要視されています。1992年までのシリコンバッグと比較して圧倒的にバッグの袋が厚くなり明らかに耐久性がアップしています。
破損の原因として考えられるものは「経年劣化」が最大のものと言えます。シリコン製のバッグの袋はゴム状のものですので、新品の時はかなりの柔軟性や耐久性が確保されていたとしても何十年も経つ間にその柔軟性や耐久性が落ちることは当然のことです。FDA認可のメンター社とマクガン社では少しの差でメンター社の製品の方が耐久性に優れる、というデータが出ています。
経年劣化以外の原因としては「皮膜拘縮によるバッグへの圧迫」「皮膜の石灰化によるバッグの摩擦」「リップリングを起こした部分のバッグの摩擦」「外側肋間神経などの索状物(固い筋状の組織)の剥離、切離不足によるバッグとの摩擦」などが考えられます。これらの多くは正確な手術操作や適切なアフターケア等によって回避可能ですが、リップリングを起こした部分のバッグの袋同士の摩擦だけは防ぎようが無いのが現状です。
リップリングを起こさせない為にはバッグの中身のジェルが満タンに充填された状態が良いと思われますが、当然ながら感触が劣ってしまい、柔軟性に欠けるので脇の下の傷口から挿入できなくなってしまいます。今後の大きな課題です。
1992年に世界的に従来型のシリコンジェルバッグ(コヒーシブシリコンでない流動性の高いもの)の使用が禁止されてから、各種の実験や疫学的データによって1994〜1995年頃には「シリコンジェルには発癌性は無い」という事が立証されました。この事は現在では定説となっています。シリコンという物質はSiO2(二酸化珪素)という組成で、各種医療材料(人口血管など)にも使用されていますし、水道水にも微量ながら含まれています。
「バッグを挿入する部位」の大胸筋下法のところでも書きましたが、長年に渡ってバッグ(シリコンバッグ、生理食塩水バッグとも)が肋骨表面に接していると、その圧迫によって肋骨が非薄化してくる事が知られています。下顎に入れたシリコンプロテーゼのように骨内に埋入してしまう可能性はありませんが、肋骨が薄くなりますので、外的な力に多少は弱くなっていると考えられます。肋骨を被っている骨膜を剥離している訳ではありませんが、バッグの物理的な圧迫による肋骨の骨吸収(部分的な骨壊死)が起きていると推測されます。
1992年までは日本国内でも厚生省(現在は厚生労働省)でシリコンバッグは認可を受けていました。当然、国内に代理店が存在しており、国産の高研社の製品やアメリカのマクガン社の製品が流通していました。しかし、1992年の「シリコンジェルによる発癌性の疑い」事件によって国内はもちろん、世界中でシリコンバッグの使用が禁止されました。その後、発癌性の否定によりヨーロッパ各国では1995年頃から、アメリカでは2006年から中身が漏れ出しにくいコヒーシブシリコンバッグが認可されて流通しています。しかし、日本だけは厚生労働省の認可が下りない状況が今現在も続いています。
当院も参加している「日本乳房インプラント研究会」では2006年から2008年にかけて国内の医療機関で2000例以上の症例を集めて、その結果を集計して厚生労働省に提出して、将来的な認可の一助としていますが、シリコンバッグの製造メーカーの治験や各種安全性のデータの提出などまだまだ国内での認可のハードルは高そうです。
共立美容外科宇都宮院ではバストの手術には特に力を入れており、そのための医療機器も充実しています。美容外科クリニックでは少ない内視鏡を完備しています。これはワキの下からの小さな傷口からでも乳腺下の剥離状態が確認できますし、内視鏡で確認しながらの確実な止血も可能です。また、乳腺を剥離するための専用の4種類の剥離器具を用意しているのも当院の特徴です。また、照明付きの筋鈎(傷口を持ち上げる器具)や手術中に大きさを確認するトライアルバッグ、手術中に患者様が確認する際に自動的に上半身が起きあがれる電動ベッド、確認用の豊胸術用3面鏡も完備しています。
また、麻酔機器も充実しており、麻酔器、各種モニター機器の他に麻酔中の呼吸状態をチェックするカプノメーター(日本でも2001年より麻酔の際に設置が義務づけられていますが、まだまだ完備していない美容外科クリニックが多いようです。)を揃え、なおかつ万が一の機器のトラブル対策として全ての機器を2台以上用意してバックアップにも万全を期しています。
前述したように日本以外の諸外国では各種バッグの認可がはっきりしています。アメリカでは2006年12月からは条件付きながらコヒーシブシリコンの使用が認められています。1995年以降にヨーロッパや南米、アジア諸国では殆どがコヒーシブシリコンバッグを認可しています。中国では2000年からはハイドロジェルの注入(バッグではなく中身だけの注入)が認可されましたが、トラブル(炎症、硬結など)が相次いで起きて現在は禁止になっています。スウェーデンではシワ取りなどに使うヒアルロン酸を注入で豊胸術に使用するための臨床試験が行われ、2008年にはCEマークを取得(ヨーロッパでの認可)しています。
日本国内でも2005年頃から盛んに行われており、日本国内でのデータがCEマークの取得の際に使用されたそうです。(日本での患者様は実験台という訳です。)しかし、アメリカではヒアルロン酸注入による豊胸術は認可されていません。日本のように「国としては認可はしないが、禁止もせず医師の裁量下での使用は自由です。何かトラブルがあっても国は責任ありません。」という状況の国は先進諸国の中でも少ないと思います。
2007年からは美容目的以外の乳ガン手術後の再建目的でコヒーシブシリコンバッグを使用することも一般的となってきています。(ただし、その医療機関での倫理委員会等の許可を受けることが条件となります)腹直筋や広背筋などの自己組織を使用しない再建の需要もかなり存在します。これだけ需要があって、国内で美容目的だけでも年間1万例以上が行われている治療ですので、早く認可が待たれるところです。

コヒーシブシリコンバッグに穴があいた場合の写真です。この状態では穴は開いているのですが、中身のシリコンジェルは全く漏出していません。

少し力を加えるとバッグの中身のコヒーシブシリコンジェルがはみ出てきます。

かなりの力を加えると中身のコヒーシブシリコンジェルが漏出してきます。
ただし、この位が上限でこれ以上はいくら力を加えても中身はそのままです。


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